ある哲学者が、こんな夢を見た。まず最初にプラトンが現れた。
そこで、その哲学者はいった。「あなたのすべての哲学について、
15分ほどで概要を教えてくださいませんか?」
哲学者の驚いたことに、プラトンはわずか15分のあいだに、
膨大な量の事柄を凝縮した、見事な解説をしてくれた。
しかし、あることを哲学者が反論すると、プラトンは
答えられなかった。論駁されたプラトンは消えてしまった。
次にアリストテレスが現れた。だが、このときも同じことがおこった。
アリストテレスに対する哲学者の反論は、
プラトンに対するものとまったく同じものだった。
アリストテレスもこれには答えられず、結局消えてしまった。
続いて、古代、中世、近代から現代にかけての歴史上の
著名な哲学者が夢のなかに次々と現れた。
しかし、この哲学者は同じ反論を唱えて、全員を反駁することができた。
ついに、最後の人物であるデリダが消えたあとに、
この哲学者は独り言をいった。
「わたしはいま眠っている。これが全部夢であることも知っている。
それでも、わたしは、すべての哲学者に対する普遍的な反論を
発見したのだ! 明日、目を覚ましたら、この反論を
忘れてしまっているかもしれない。それでは人類にとって大損失になる!」
彼は超人的な精神で自分の目を覚まさせ、
夢遊病のようにして机に駆けつけると、その普遍的な反論を書きつけた。
そしてベッドに飛び込み、ほっとして再び眠りについた。
翌朝目を覚ますと、彼は机に駆け寄って、
自分が何と書いているかを確認した。
すると、そこには次のように書いてあった。
「それは、あなたが勝手に言ってるだけでしょう!」